2012年4月9日月曜日

おすすめ出産関連本 | びんちょうたんコム


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自然なお産によって健康な赤ちゃんを産みたい。これは、妊娠・出産をひかえた女性ならだれもがもつ願いです。では、どうしたら自然なお産をすることができるのでしょうか。というより、現実に、わかしたちには、どのような選択肢があるのでしょうか。

第一の選択肢は、いうまでもなく、病院です。
世間一般の常識として、医療の専門家と近代的な医療設備なしには安全なお産はできないという通念があります。病院なら安心、大病院ならいっそう安心、と多くのひとが思っています。しかし、ほんとうにそうでしょうか。
病院がかならずしも安心できる場所でないことは、無数の体験者が語るところです。とくに病院でお産したあとで病院以外でのお産を体験したひとたちは、口をそろえて病院出産の不条理を指摘します 。
じっさい、病院のお産では、強引な措置によるさまざまな被害が続出しています。重大な事故もすくなくありません。病院でのそのような被害の多くには、陣痛促進剤などの薬物の投与が関係しています。患者にとって無用な薬物の乱用は、病院医療の悪弊のひとつとなっています。

また、産婦にたいして病院でひんぱんに実施されているのが、会陰切開や帝王切開などの手術です。これらの手術は、あまりにあたりまえにおこなわれているので、現在ではだれも特別なことだと思わなくなっています。けれども、会陰をハサミで切り裂いたり腹部を切り裂いて胎児を取り出すなどということが、どうしてあたりまえのことでありうるでしょうか。手術には多くの危険と後遺症がつきものであることはいうまでもありません。
幸運には手術をまぬがれたとしても、病院でのお産はかぎりなく手術にちかい様相を呈します。点滴をされ、おなかに監視装置をつけられ、手術台のような分娩台のうえにあおむけに固定され、尿道にくだを挿入され、医師や看護婦や助産婦の巡視するなか、さんぜんたるライトのもとに局部をさらけだす・・。


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病院の強引な措置は、多くの産婦にすくなからぬ精神的ダメージをあたえています。人類学者で出産教育者のシーラ・キッツィンガーは、暴力的な病院出産を「レイプ」にたとえています。たとえているといより、体験者にとって、それはレイプとおなじだというのです。「出産でいやな体験をした人たちと、レイプや性的虐待を受けた女性たちの発言が同じ」であり、しかも「言葉だけでなく、その後の気持ちも同じ」だというのです。

産婦にたいする強引さは、そのまま、子どもにたいする強引さでもあります。病院でのお産は子どもにさまざまな肉体的・精神的なダメージをあたえてしまう危険があります。出生時のダメージは、子どもの肉体的・精神的な� ��長にとって、とりかえしのつかない障害をもたらすものとなるかもしれません。病院では、生まれた赤ちゃんもかなり不自然に管理され、授乳など母子の相互関係もなかなかスムーズにゆきません。

では、病院以外にはどのような選択肢があるのでしょうか。
医師のいる医療施設のほかに、助産院(助産所)という施設があります。第二の選択肢です。助産院は助産婦(助産師)がすべてをとりしきります。医師とちがって、助産婦には原則として手術をしたり投薬をしたりする権限がありません。したがって助産院でのお産は、病院にくらべればはるかに自然なものとなります。自然であれば、安全です。
ただ、助産院もあくまで施設なので、産婦にさまざまな制約がかかることは避けられません。また、病院出産が圧倒的 な主流をなす現在、お産をうけおう助産院はたいへん希少になっています。とくに地方では近隣に助産院の存在しないことも多いのです。

ただし、助産婦による介助も、問題がないわけではありません。助産婦も医療者です。医師とはまたことなった考えや技術をもっているにしても、助産婦も基本的に病院を軸とした医療の体系に組み込まれていることにかわりはありません。助産婦は、妊娠と出産を医療と結びつけ、あれこれと余計な指示や手出しをせざるをえないのです。それに、産婦にとっては、助産婦の存在じたいがストレスの種になります。助産婦もあくまで他人なのですから。

また、現状では、自宅出産をうけおってくれる助産婦をさがしだすことじたいがたいへん困難です。産婦と助産婦との相性という問題も� �視できません。相性のよい助産婦を選択することなど、とうてきできないことです。


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では、ほかに選択肢はないのでしょうか。──あります。助産婦の介助も受けないお産です。自宅で、たとえば夫婦だけで、お産をするのです。これが第四の選択肢、無介助出産です。この本では、これを「プライベート出産」と呼びます。「プライベート出産」とは、医師や助産婦など他人の介在しないお産のことです。実質的には、医療者のいないお産ということになります。

医師や助産婦にたよらずにお産することなど、はたして可能なのでしょうか。もちろん可能です。すべて懐胎した生物は独力でお産する能力をもっています。動物には医師も助産婦も存在しません。みな独力でお産します。ヒトのお産も、ほんらいその例外ではありませんでした。

< p>じっさい、日本でもほんのひと昔前までは、医師も助産婦もいないお産が常識だったのです。しろうとの介添えがひとりふたり立ち会うだけで、というのが一般的でした、産婦ひとりだけで、ということもめずらしくありませんでした。昭和になっても、婦人雑誌の付録に無介助出産の手順が解説されていたりしました。

プライベート出産にあっては、気がねする他人はだれもいません。余計な指図や手出しをするひとはだれもいません。私的な場で、思いのままに、産婦の「自然」のおもむくままに、お産に専念することができます。これぞ「自然出産」です。(「自然出産」とは、生物としての自然の生理にしたがって産婦が自力で子どもを産むことです。)

ほんとうのところ、多く女性はプライベートなお産を無意識に望 んでいるはずです。望んでいながらそれを実現させるすべを知らない、というのが多くの女性の置かれた現状であるようです。

こうしてみると、わたしたちにはお産にさいして四つの選択肢があることになります。病院出産、助産所出産、助産婦立ち会いの自宅出産、そしてプライベート出産。それぞれに長所があり、短所があります。それらをよくみきわめたうえで、各人にふさわしいお産を選択することがのぞまれます。

四つの選択肢のうちの三つまでは、それぞれに参考になる本が多数出版されています。わからないことは医師や助産婦に相談することもできます。ところが四つめのプライベート出産については、参考書もないし、相談する相手もいません。「病院医療専制」の風潮のなかで、第四の選択肢は事実上おお� �かくされているといってよいでしょう。本心では多くの女性がプライベートなお産を望んでいるのに、社会的な風潮がその望みを封印してしまっているのです。


そこで、本書では、もっぱら第四の選択肢であるプライベート出産に目標をしぼって、その真実の様相について述べてみることにします。究極の自然出産について理解することで、その他の選択肢でのお産への理解もおのずから深まることになるでしょう。

わたしは研究者であって医療者ではありません。それゆえにこそ、自由にものを考え、自由にものを言うことができます。産科医や助産婦は、医療者としての立場にしばられています。プライベート出産を肯定する医師や助産婦はひとりもいません。医療の世界では、無介助出産をみとめることじたいがタブーなのです。それに、ほとんどの産科医や助産婦は産科学等にもとづいた、かたよった知識によって固められています。した がって現状では、プライベートなお産のための合理的な知識を提供することは医療者には不可能といわねばなりません。──研究者であるわたしに、この本を書く役割があたえられたゆえんです。

プライベートなお産をめざしているひとにとっては、この本はプライベート出産へ向けた価値ある座右の書になるでしょう。本書はいわゆるマニュアル本ではありませんが、プライベート出産にかんしてはほかに類例をみない参考書であることはたしかなのです。

プライベート出産をするかどうか迷っているひとやプライベート出産を選択肢のひとつと考えているひとは、この本から判断の貴重な手がかりを得ることができるでしょう。本書は、プライベート出産に目標を定めていますが、けっしてプライベート出産をすすめている� �けではありません。むしろ、社会的な態勢のととのっていない現状では、安易な無介助出産をするべきではないと強調しなければなりません。

どこでどのような出産をしようかと思案しているひとには、この本は出産場所や出産方法について適切な判断材料を提供することができるでしょう。第四の選択肢を視野にいれることで、その他の選択肢の特質がよりはっきりみえてくるからです。

プライベート出産は、自然出産の究極的なありかたを示すものです。病院でのお産を選ぶにしても、助産院でのお産を選ぶにしても、助産婦の介助による自宅でのお産を選ぶにしても、プライベート出産のありかたにすこしでも近づけるように工夫するべきです。この本があれば、産科学にもとづいた施設出産の問題点や、自然なお産に近� ��けるためのさまざまな方策を、具体的に把握することができるでしょう。


病院や助産院へ提出する出産計画書(もしくは要望書)の作成にもおおいに役立つでしょう。助産婦がふつうに得られる情報は、医療者サイドからの一方的な宣伝ばかりです。そのようなかたよった情報に洗脳されたままでは、計画書(要望書)の作成に適切な判断力を行使することはけっしてできないでしょう。医療者の認識不足やご都合主義を見抜き、医療者の意に反した注文をもはねつけられるだけの、懸命で主体的な妊婦であってほしいものです。

産後の注意事項、乳幼児のケア、授乳のありかなどは、お産の場所や方法にかかわらず重要な問題です。これらについても一般に医療者の流す偏向した情報ばかりが流布しています。この本を読めば、そうした問題についても、より 正当な認識が得られるでしょう。正当な認識を身につけて、まわりのひとたちや専門家の偏狭な忠告にまどわされないようにしたいものです。

またこの本があれば、たとえば病院や助産院へでかけるまえに分娩がはじまってしまったとか、助産婦が到着するまえに生まれてしまったという事態にも、落ちついて対処することができるでしょう。
母子を守りたいという意欲のあるパートナーたちにも、ぜひこの本を呼んでもらいたいと思っています。たいていの男性たちは、無知のゆえに、母子の味方になることができないでいます。ほんらい、パートナーの男性こそ、母子のかけがえのないささえになりうるし、なるべきなのです。そのためには、なによりもまず、お産や育児の真実をよく知ることが必要です。本書は、そのため� ��おおいに役立つでしょう。

産科医や助産婦の眼には、この本はあやしげなものに映るかもしれません。けれども、じつはここには、産科医療のすすむべき方向を専門家が正しく認識するための、多くのヒントがちりばめられているはずです。専門の医療者にも一読願いたいものです。
プライベート出産に焦点をあてたのも、自然で安全なお産の普及を念願してのことです。お産にかかわるさまざまなかたがたに、この本を役立ててほしいと願っています。



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