Xfit—体づくり、フィットネスのためのトレーニング・栄養情報 - NO(一酸化窒素)サプリメントの可能性
体内の一酸化窒素(NO)生成レベルを高めるサプリメントの効果とは
「パンプ(筋肉に血液が充満した状態)を持続させる」
「血流量を増やし、酸素の供給を高め、全身の回復を促進する」
こうした効果が得られれば、筋量や筋力を高め、より体脂肪の少ない体をつくることができる。筋肉づくりをめざす人には願ってもないことだが、そうした効果をもたらすとされているのが、NO(一酸化窒素)サプリメントだ。このサプリメントは一時、有効性が疑問視されていた時期があった。しかし新たな研究結果から、今では「クレアチン以来の注目のサプリメント」として期待されている。この話題のサプリメントについて、以下に詳しく述べていこう。
新たな注目へ
NOサプリメントは、いろいろな面でクレアチンと共通する点が多い。たとえば、どちらもサプリメントとして市場に出る前から、研究者の間では高い評価を受けていた。そして両方とも、市場に出た当初は有効性や安全性を懸念する声があったが、ともに実際の使用者の体験談や研究結果で高い支持を得ていた(ただし、クレアチンのほうが開発時期が早いので、データはより多い)。さらにどちらも、健康、パフォーマンス向上の面でさまざまな効果が実証されてきており、世界各国で人気のサプリメントとして売り上げを伸ばしている(このことが、使用者が満足しているいちばんの証拠だろう)。
長年の研究から、一酸化窒素は体内の細胞に「信号」を送る働きを持つ物質であることがわかってきた。すなわち、体内で起こるさまざまな化学反応の指令を送っているのが一酸化窒素なのだ。この働きによって、血流や筋肉の収縮、神経系の信号伝達、筋肉の成長やその他、体内のさまざまな機能が調節されている。一酸化窒素にはこのように重要な働きがあるわけだが、では、その効果をさらに高めるために、体内の生成量を増やすことはできるのだろうか?
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その答えは「イエス」である。ただし、体内レベルを増やすために、一酸化窒素そのものをサプリメントで摂ることはできない。一酸化窒素は体内で生成される気体(ガス)であり、主にアミノ酸のアルギニンからつくられる。つまり、一酸化窒素生成レベルを高めるサプリメントのカギは、アミノ酸のアルギニンなのである。しかし、そう聞いて不思議に思う人もいるかもしれない。なぜならアルギニンはサプリメントとしてずっと以前から出まわっているし、肉や魚、乳製品、卵といったたんぱく質食品にも含まれているからだ。1日のたんぱく質摂取量によるが、たいていの人はアルギニンを1日に5〜10gは摂っている。しかし残念ながら、摂取したアルギニンのほとんどは、体内で一酸化窒素に変換されることはない。その理由� �、アルギニンの生物学的利用率の低さ(つまり、体内で十分に吸収されないため、目的とする箇所に送られないという意味)と、さらにアルギニンは一酸化窒素の生成だけでなく、クレアチンや筋肉のたんぱく質合成など、体内で他にもさまざまな用途に使われるからである。
NO(一酸化窒素)の作用
一酸化窒素の体内での生成量を増やすには、アルギニンのサプリメント摂取が必要であることは、数多くの研究で実証されている。体内のアルギニン・レベルが高い人でも、アルギニンをより多く摂取すれば、体内の一酸化窒素の生成量をさらに増やし、健康にもパフォーマンスの向上にも効果が得られることが実例から示されている。
体内での一酸化窒素の作用に関する研究のほとんどは、心臓血管系への影響に焦点をあてたものである。アルギニンは、血管内での一酸化窒素の生成量を増やし、それによって血管が拡張され、したがって血圧を上げることなく血流を増やす作用が得られることが研究で認められている。この作用は、冠状動脈疾患や高血圧の人にとって非常に有効である。そしてもちろん、筋肉を強く大きくしたいという人にも願ってもない作用だ。血管が太くなれば、より多くの血液を筋肉やその他の組織に運ぶことができる。つまり、血液をとおしてより多くの栄養素や酸素、同化(筋肉をつくる)ホルモンを組織に送り届け、筋肉の成長を促進することができる。また、筋肉の成長の妨げとなる代謝物(疲労を引き起こし、筋肉にダメージを与える� ��の排泄もうながされることになる。
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以上、どの点をとっても、NOサプリメントは明らかに体づくりに効果をもたらす。なかでも、筋肉づくりをめざす人に関心が高い点が、パンプ(訳注:筋肉に血液が充満した状態になること)が強化されるということだ。この作用は、科学的には「細胞の体積の増加」といわれる現象であり、ウエイト・トレーニングの結果として起こる一時的な現象であると、以前は考えられてきた。しかし現在では、パンプは筋肉の成長過程を刺激するきっかけと考えられている。そしてNOサプリメントを摂れば、より大きなパンプを、より長時間持続させることができるのである。
また、筋肉への血流が増加すれば、さらに数レップ多く動作を行うことも可能になる。その理由は、酸素の供給が増えることにより、トレーニングで使われたクレアチンリン酸(ウエイト・トレーニングのような無酸素的運動の主要なエネルギー源)のレベルをより速く回復できるからである。さらにもう一つ、乳酸や水素イオン(代謝の副産物で、筋収縮の力を低下させる)を速やかに排泄できるようになることも、その理由である。そして、パンプの増大は、筋力の増加にもつながる。筋線維の収縮能力が高められることにより、より大きな力を発揮できるようになるのだ。
NOサプリメントを摂ることで、ワークアウト後の回復も早まるようになる。この理由は主に、栄養素や酸素の供給量が増えることと、筋肉内の老廃物の排出が促進されるからである。さらに同じ理由から、エアロビック・トレーニングのエネルギーも高まり、より高い強度で長時間行えるようになる。したがって、脂肪の燃焼効果も高まることになる。
さらに、NOサプリメントの効果は筋肉づくりの面だけにとどまらない。血流の増加作用により、勃起不全の改善に効果があるほか、NOサプリメントを使うようになってから、皮膚の状態がよくなったり、髪の毛が増えたという人もいる。発毛剤のロゲイン(有効成分としてミノキシジルを含む)は一酸化窒素と同じ経路で作用し、発毛を促進することを考えれば、この効用も不思議ではないだろう。また、「経口化粧品」といわれる新たなサプリメント分野として、女性を対象にして、皮膚や毛髪の状態を改善するNOサプリメントの研究も進められている。
神経系への信号伝達の働き
一酸化窒素は血管だけでなく、体内のさまざまな組織に直接的に作用する。筋肉もそのうちの一つであり、筋細胞内で、一酸化窒素は細胞に信号を送る物質として働く。つまり、筋肉に指令を与える役割を果たしているわけだが、残念ながら現時点では、いろいろな信号を伝えることはわかっていても、厳密にどのような働きが起こっているのかについては解明されていない。
しかし、一酸化窒素に筋力を高める作用があることは間違いなさそうだ。一酸化窒素の生成が阻害されると、筋肉の収縮が弱くなり、生成量が増えると筋収縮も強くなることが、研究で認められている。さらに、この筋力の増加は、パンプによる効果とは無関係に起こることもわかっている。こうしたことから、NOサプリメントは筋力増強効果の点でも大きな期待が持たれている。筋力が強くなれば、より重いウエイトをあつかうことができ、したがって筋サイズの増加につながることになる。またパンプによっても、筋量を増やす効果が得られる。さらにはもう一つ別の点から、NOサプリメントには筋肉の成長を促進する作用がある。つまり、細胞レベルで直接的に働きかけ、筋肉の成長をうながすのである。そのメカニズムはまだ明らか にされていないが、一酸化窒素には筋肉内のたんぱく質合成を刺激する作用があり、そのたんぱく質を使って筋組織が形成され、筋肉が大きくなっていくといわれている。
NOサプリメントに関して、現在最も議論を集めているのが、「セットポイント理論」といわれるものである。一酸化窒素には筋量の「セットポイント」(一定値/訳注:「セットポイント理論」は、常にこの一定値になるようにコントロールする仕組みが働くというもの)を上げる作用があると考える専門家が多い。つまり、セットポイントが高ければ、たとえばけがなどでトレーニングができない状態になったとしても、筋量の減少が起こりにくくなるわけである。そうした効果が得られるとすれば願ってもないことだが、残念ながら、まだこの理論には確証が得られていない。
さらに、脂肪燃焼に関する面でも関心が集まっている。これまでは一般に、筋量アップと体脂肪減少を同時に達成することはできないといわれてきた。したがって競技ボディビルダーは、まずバルクアップをしてサイズをつけてから、そのあと体脂肪を落としてカットをつける方法をとっているのだが、NOサプリメントの使用によってそれが可能になる期待が持たれている。一酸化窒素が細胞に送る信号によって筋量増加が促進される一方、脂肪も燃やすようにも信号が送られるからである。この両方の作用が同時に起こることを支持する研究も発表されている。NOサプリメントを摂取した被験者は、エアロビック・トレーニングを増やしたり、カロリー制限のダイエットを行わなくても、30日以内で体脂肪が2〜4%減少したというのであ� ��。さらに、この体脂肪燃焼効果には大きな「おまけ」もある。エネルギーが高まり、ワークアウトでも仕事や日常生活にも、よりエネルギーアップして臨めるようになるのだ。
どのように摂取するか
一酸化窒素生成の材料となるアルギニンはたんぱく質食品やサプリメントにも含まれているが、それらの形態のアルギニンでは体内の一酸化窒素量を大幅に増やすことは難しい。効果を得るには、一酸化窒素生成を高めるようにつくられたアルギニン製品を使う必要がある。人間を対象にした臨床実験のほとんどでは、一般的なアミノ酸のL-アルギニンが使われているので、L-アルギニンを含むNOサプリメントを使うことも方法の一つである。しかし前述したように、アルギニンは体内での吸収が低く、一酸化窒素の生成を増やす効果は高くないと、専門家の多くは指摘している。
そこで登場した、より強力な形態のアルギニンが、アルギニンα-ケトグルタル酸(アルギニン分子2個にα-ケトグルタル酸〈グルタミンの前駆体〉分子1個が結合したもの)と、アルギニン・ケトイソカプロン酸である。現在、ほとんどのNOサプリメントに使われているのはアルギニンα-ケトグルタル酸である。この形態のほうがアルギニンの吸収を高めると考えられるだけでなく、間接的にグルタミンの供給源ともなる(グルタミンもアルギニンの生成に使われる)からである。これら以外に、他のアミノ酸(同じく一酸化窒素合成に関わるシトルリン、オルニチン)を使ったNOサプリメントもある。
サプリメントを摂取して体内の一酸化窒素生成量を高めるだけでなく、その状態を持続させることも重要である。MRI(メディカル・リサーチ・インスティチュート)社社長で、NO2(同社のサプリメント製品)の開発者でもあるエドワード・バードは次のように述べている。
「一酸化窒素そのものは短時間しか存在しない物質(気体)であり、筋収縮後3〜5秒も経過すれば消えてしまう。したがって、一酸化窒素が骨格筋に1日をとおして供給されるようにするには、時間をかけて吸収されるタイプのサプリメントを使うことと、1日に数回摂取することがポイントになる。時間をかけて吸収されるタイプであれば、1日をとおしてゆっくりと体内に取り込まれ、一酸化窒素の生成レベルを高く保つことができ、効果をさらにあげることが可能になる」 どのタイプのNOサプリメントを使う場合でも、1日に数回摂取することが重要である。摂取頻度が高いほど、体内の一酸化窒素のレベルをより長時間、高く保つことができる。一般的な摂取方法としては、アルギニンを1日に2〜3回摂る(胃が空の状態で)ことが勧められる。1回はまず朝いちばん(朝食前)に摂り、もう1回はワークアウト前(トレーニングしない日も同じ時間帯に)に摂るようにする。3回摂る場合は、前の2回と時間を等間隔にあけて摂る。いうまでもないが、製品のラベルをしっかりと読み、指示された量、間隔をおいて摂ること。製品によって使用法が異なるので(成分の吸収の度合いなどが違うことから)、必ずラベル表示にしたがうこと。
ジェフ・コブ Jeff Kobb
NO(一酸化窒素)サプリメントの摂取方法 |
以下のガイドラインにしたがって正しく利用し、アルギニン・サプリメント摂取の効果をあげられるようにしよう。 |
■1日に2〜3回(等間隔の時間をおいて)、胃が空の状態で摂る。 |
■1回はワークアウトの30〜60分前に摂る。 |
■L-アルギニン製品を利用する場合は、1回に3〜5g摂取する。 |
■アルギニンα-ケトグルタル酸を含む製品を使う場合は、1回に3g摂取する。 |
■NOサプリメントの摂取に合わせ、水もたくさん飲むようにする(1日の水分摂取量は約4リットルを目標にする)。 |
■NOサプリメントの摂取は、サイクル化(摂取量を時期によって調整する方法)する必要はない。 |
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