2012年5月10日木曜日

HACCPに関する情報をご案内(三基計装株式会社)


HACCPに関する情報をご案内(三基計装株式会社)

 

HACCP:清浄化が要求される食品製造環境

HACCP INFORMATION

本稿は「食品機械装置」2002年12月号に出稿したものに加筆訂正したものです


食品の品質と安全
 食品は見た目の良さ、味、におい、歯応え、量、包装デザイン、価格などさまざまな要素で消費者から選択される。最近では賞味期限や添加物、原料産地、遺伝子組換え等素材の氏素性も厳しくチェックされるようになってきた。食品への異物混入や食中毒事件が相次いで、食品メーカーへの消費者の目が厳しくなっている。昔も当然あったことだろうが、それを公に糾弾する、告発するという意識が出てきたために表面化することが多くなったのであろう。場合によっては身に覚えの無いことを言われることもある。プロ・クレーマーも存在する。原材料から食品メーカーの加工、いくつかの流通の過程を経て小売店の店頭に並び、それを購入した消費者の家庭でまた保管され、調理されて� ��に入るまでに多くの経路、人の手を経る。どこでなにがそうなったかということの原因を特定することは難しい。細菌の繁殖、金属・プラスチックその他のゴミの混入、毛髪や虫の死骸が入っていたりすることが問題になる。混入がどこで発生したか不明であっても、消費者はまずメーカーを疑うから、メーカーは自衛の意味でも製造工程管理と記録を厳密に行うことが肝腎だ。包装が例えばよじれていて、密閉性に問題なくてもクレームをつけられるから、最終段階での画像検査も行われている。食品の品質の中で、図1に示すように従来の食品そのものの品質規格や顧客サービス品質に増して安全性が問われる社会になってきたと考えるべきである。

 

図1 食品の品質規格の捉え方


食品の危害要因と安全対策
 食品への危害としては、11) のように生物学的危害、化学的危害、物理的危害の3種類がある。

 生物学的危害の原因物質は食中毒細菌(ボツリヌス菌、病原性大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌など)やウイルス(A型、E型肝炎ウイルスなど)、寄生虫(回虫、アニサキス、広節劣頭条虫など)である。

 化学的危害の原因物質はカビ毒、キノコ毒、貝毒、ヒスタミンなどの天然物質、食品添加物などの意図的添加化学物質、殺虫剤、除草剤、肥料、抗生物質、工場での潤滑油、洗浄剤、有毒元素(鉛、亜鉛、砒素、・・・)などの非意図的混入物質がある。1955年に131名が死亡した砒素入り粉ミルク事件や1968年のPCB汚染米油事件などである。

 物理的危害の原因物質は一般に「異物」と言われるもので、ガラス、木、石、金属、プラスチック、毛髪などである。前2つの危害のように大量の被害は出さないが、事件としてはもっとも多いものである。

 

表1 食品の安全対策

危害の種類

危害原因物質 安全対策 対象物

生物学的危害

食中毒菌、腐敗菌、カビ、酵母、ウイルス、寄生虫、原虫、昆虫 洗浄・殺菌 食品原材料、機械設備、容器、食品工場(床・壁)など
加熱殺菌 加工食品、機械設備
包  装 生鮮食品と加工食品(保存性向上と二次汚染防止)
冷  蔵 生鮮食品と加工食品(微生物の発育防止)
化学的危害 カビ毒、キノコ毒、貝毒、抗生物質やホルモン、食品添加物 くん蒸殺菌 輸入食品原材料
化学分析、毒性試験などの測定 輸入魚介類、輸入食肉、輸入食品原材料、生鮮食料品と加工食品
物理的危害 ガラス、木、石、金属、プラスチック、毛髪 洗浄・殺菌 食品原材料、機械設備、容器など
金属探知機、画像処理、X線検知 生鮮食品と加工食品

 

 最近では中国産野菜の農薬残留量が問題化しているが、水際でこれらをストップすることは可能としても、いまや我々の食卓を占める食材は原材料や加工された形で海外から入って来ているものが多い。食品工場も同様で、原材料の多くが輸入である。なま物は別として、食品工場における加工段階でこの危害を除去できれば良い。そもそも細菌などは人体に多量に存在し、善玉もいれば悪玉もいる。健康な時はとくに意識もしない。免疫ができるし、人体の高度な細菌対策機能が働いて悪玉化を防いでいる。したがって余程の事がない限り食中毒にはならない。食品材料にも当然細菌は多量に存在するから、人体に悪影響を与えない程度の量に抑えたり、腐敗を防げれば良い。また原材料そのものには菌が少なくても食品� ��場で繁殖した菌が移ったり、作業者の人体から移ったりする。したがって菌が繁殖しない環境にするとか、作業者が帽子、マスク、手袋を着け、特別な作業服を着て作業することになる。安全対策として対象により違いが有るが、加熱殺菌やくん蒸殺菌、洗浄殺菌など各種の殺菌方法をとって賞味期限まで一定量以下に細菌繁殖を抑える方法がとられている2)

 切り餅の真空包装、N2充填パックなどはたいへん素晴らしいアイデアであった。またNASAのアポロ計画におけるニーズに応じてできたレトルト食品も日本の誇る技術である。これらは菌の繁殖を抑えるところから生まれた発明である。レトルト食品は低酸性食品のカテゴリーに入り、生物学的危害はボツリヌス菌に特化され、パック後、菌芽胞の不活性化に必要な120℃、4分以上の殺菌処理を施すことで長期保存に耐える。これらの事例は有用な細菌抑制対策であるが、いつも餅やレトルト食品を食べているわけにはいかない。多くの食品は包装されていても先述のようにさまざまな過程で危険にさらされている。科学技術の進歩や科学的生産体制、政府による規制を経てもなお食中毒事故は全世界で減少ではなく増加しているのが実情だ3)。日本でも1996〜1997年の腸管出血性大腸菌O157によるかいわ れ大根、北海道のいくら醤油漬け事件のように全国的大規模食中毒が毎年発生している。これはやはり人間による作業である以上、原料管理や水管理に細心の注意を払わないと汚染が発生する、さらに細菌も生物であるから常に環境に適応して進化、発展するために、新たな病原体が現れては大流行するためと思われる。カンピロバクター、リステリア、小型球形ウイルスなどは新興勢力であり、サルモネラのように伝統的な病原体であっても最近再び猛威を振るう種もある。ブドウ球菌のように昔は食中毒の代表選手であったものも、いまや調理時の手洗い励行や身体装具、低温流通、低温保存、さらに賞味期限表示などによって減ってきたものもある4) 5)それだけに記憶に新しい2000年6月に発生した黄色ブドウ 球菌低脂肪乳食中毒事件は驚きであるとともに、その工場がHACCP認定工場であったことが国民にも政府にも大きなショックを与えた。原因物質は黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンA型であった。当初会社側の発表では、配管洗浄は毎日行っていたが、逆流防止弁の分解洗浄を怠ったため、牛乳残滓が隙間に溜まって黄色ブドウ球菌が繁殖したのが原因とのことであったが、最終的には別工場で生産された脱脂粉乳が本事故の原因であったと判断される。HACCPはあくまでシステムであり、ここで定めたことを忠実に守らなければ効果を発揮しない典型例であり、もって肝に銘ずべし、である。

  生物的危害の代表である細菌は加熱すれば死ぬというものではない。高温が好きな細菌もいれば、O157のように低温で生き生きと躍動する細菌もいる。したがって食品の無菌処理はケースバイケースで、表21)のように加熱処理非加熱処理膜処理、そして化学薬剤処理が用いられ、そのための装置と無菌化技術が提供されている。また

@常に繁殖を抑えるための洗浄を行う
A細菌の巣となる場所を作らない
B水や多湿環境を好む菌が多いので乾燥を心がける(これは洗浄と矛盾することが多い)
C低温で活動が停滞する菌が多いので低温または冷凍保存する

など各種の対策をとる。

  化学的危害は原料の分析、測定、食品添加物への配慮と明示、食品機械装置での汚染防止対策を徹底する。

  物理的危害は異物対策であり、これも製造各工程における危害分析(HA)を行い、その重要管理点(CCP)を定めて混入を防ぐ。さらに金属などは探知機を設置して出荷前にはねる。近年とみに問題となるのは虫や毛髪の混入であり、虫については食品工場での防虫ネット、防虫ランプ、2重ドア、シャッターブラシ、保管庫・工場陽圧化などの対策はもちろんの事、その前工程に対処を求める傾向が出てきた。毛髪に付いては食品工場を出た後での混入も考えられるが、少なくとも自衛策としての混入防止策をしっかり定め、忠実に励行するとともに作業者の毛髪管理…毛髪検査記録表(タイムスタンプ)をつけて後でそれが加工段階のものであるかどうか照合できるように管理することが必要だ。
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MLMうつ病

表2 食品の無菌化処理

処理名 装置と薬剤 無菌処理方法と無菌化技術 対象物
加熱処理 超高温短時間殺菌装置 直接加熱と間接加熱方式があり、インジェクション方式では、食品に135〜150℃の蒸気を吹き込み殺菌 牛乳、果汁飲料、酒、豆腐、ケチャップ
通電加熱殺菌装置 食品に通電加熱し、120〜140℃で微生物殺菌 カレールウ、ビーフシチュー
マイクロ波殺菌装置 包装された食品をリテーナに詰め、127℃で加熱 米飯とカレー、ビーフシチュー
レトルト殺菌装置 包装された食品を加圧下110〜130℃で加熱(熱水、蒸気) 缶詰、びん詰、レトルト食品
非加熱処理 紫外線殺菌装置 食品、空気、水の殺菌に60W〜1kW UV装置を使用 一般食品、飲料水
放射線(γ線)殺菌装置 コバルト60のγ 線を食品に照射して微生物殺菌 包材、香辛料、肉、野菜
放射線(電子線)殺菌装置 電子に高圧をかけ、高エネルギーで微生物殺菌 包材、香辛料、果物
膜処理 高性能エア・フィルター(HEPA) バイオクリーンルームに設置、空気を無菌化する 無菌室、冷却装置
精密ろ過(MF)膜 プレフィルターとメンブレンフィルターで液状食品を無菌化 清酒、ワイン、ビール
化学薬剤処理 工場・環境殺菌剤 次亜塩素酸ナトリウムなどの薬液殺菌剤で無菌化 工場、容器、機械設備
食品保存料 安息香酸、ソルビン酸などで食品微生物の発育阻止 食肉加工品、一般食品
ガス系殺菌剤 オゾン、メチルブロマイド、エチレンオキシドなどは、食品や環境の無菌化に使用 包装材料、工場設備、一般食品


食品製造の重要管理点
 食品製造の重要管理点は食品毎に異なり、製造工程によっても異なるが、生物的危害防止の代表は温度管理である。また危害原因物質そのものが製造工程に近づくことを防止することが重要である。専門家はよく「コンタミネーション(汚染)の防止」という言葉を用いる。図2はHACCPシステムの位置付けを示したものである。図からわかるようにHACCPはPP(一般衛生管理プログラム)、SSOP(衛生標準作業手順)、GMP(適正製造基準)の上に成り立つものである。これらのベースにTQCTPMISO9000の基盤があれば完璧であり、日常の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動 もこれらの中に含まれる。やたらにアルファベット略語が出てくるが、これらの詳細については割愛する。

図2 HACCPシステムの位置付け

 食品工場施設の基本はGMPであり、我が社もその一翼を担っている。我が社の製品にもHACCP対応をうたった製品のパンフレットがあり、展示会等で機械・設備メーカーが同様の表現をしているのを目にするが、これは注目して欲しいための表現であり、図からおわかりのようにモニタリング付きのHACCPシステム製品でない限り正しくはGMP対応製品、設備と言うべきである。工場の施工に関しては多くの業者がそれぞれの専門分野ごとに分業して、それをゼネコンが取り纏めるというのが日本の方式である。我社が担当しているのはその一部である。これまで主としてジュース、コーラ、お茶、牛乳などの飲料、食酢や醤油、ソースなどの充填工程、コーヒーやスパイスなど粉体工程の空気清浄化、弁当・惣菜工場の各工程の清浄化と温度管理、クッキー、� �ーキ、羊羹、チョコレート、プリンなどのオーブン後の清浄冷却、フルーツゼリーやインスタントラーメンのパッキング工程清浄化、健康食品・薬品製造工程などの設備を提供して来た。

 食品製造工場における工程毎のポイントをまとめてみた6)

(1)原料段階

 受け入れ検査として質量検査、目視検査、においや味などの官能検査を行う。抜き取りで微生物検査を行う。これには試料の調製後、培地や発酵管に加えインキュベータで培養後コロニーを計測する方法が一般的だが、時間がかかるので迅速検査器を使う場合もある。この段階でも異物除去を行う。原料の保管においては保管庫・室の環境管理が重要である。一般に低温、低湿に空調する。ただし冷凍庫、冷蔵庫の扉、窓シール部の経年劣化により断熱不良で冷たい内部と暖かい外部で表面空気が露点に達し結露することがあり、ここでカビの発生や細菌の繁殖が有り得るので熱線を付けたりドライヤーの風を当てて乾燥させるなどの対策をとる7)。また鮮度管理のため原料の先入れ先出し管理を厳正に行う。

(2)加工段階

  注意事項としては汚染エリアと清潔エリアの交叉汚染(クロス・コンタミネーション)を防止することである。汚染エリアと清潔エリアを移動する動線は3つある8)

作業者…汚染エリア(外部)から清潔エリアに入室する
物   …原料は汚染エリアから入り清潔エリアで加工され包装されて出る

空 気…清潔エリアで吹き出し、汚染エリアに出る

この動線の最短化、交叉を避ける設計が必要である。31)に施設レイアウト図の例、49)にトマトジュース製造工程の場所・工程区分と食品の流れを示す。最大の汚染源は作業者であり、これはレールに乗って走るわけではないからこの管理が重要である。

 

図3 食品製造工場レイアウト例

  

図4 トマトジュース製造工程区分

@下足室で外履きの靴を収納し、素足または靴下のまま更衣室に入る

A作業服と帽子を着用する。上履き作業靴着用は更衣室の後で、隔離するのが望ましい

B前室に入り洗面台の前に立ち鏡を見る。身嗜みを整え、着帽点検、髪が露出しないようにする。粘着ローラーで作業服の塵をとり、仕上ローラーで念入りに行う。石鹸で丹念に手洗いをし、殺菌タオル・ペーパータオル等で水分を拭うか、図5のようにハンドドライヤーを用いる。ハンドドライヤーの清掃は定期的に行う。アルコールや酸性水で手指を消毒する。滅菌グローブを装着する現場もある

Cクリーンルーム加工室の場合、エアシャワー室で一定時間エアシャワーを浴びてから加工室に入る。エアシャワーは作業員にとって面倒なものなので意識徹底を行う。市販エアシャワーにはまがいものもあるので要注意

        

図5 前室の手洗い場とエアシャワー


広告代理店の面接か身に着ける

 加工室においては2次汚染防止に注意しなければならない。たとえば毛髪除去機の植毛ローラーをきちんと洗浄しておかないと細菌が増殖する。製造機械の隙間には原料粉末、滓などが入りこみ細菌や虫の巣になる恐れがあり洗浄が重要であるとともに、機械そのものの構造が適切かチェックして導入すべきである。バケットなどの容器の補強材フレームが洗いにくく、バイオフィルムが生じる恐れがあるので、洗浄加熱殺菌、殺菌剤への漬け込みなどの管理を行う必要がある。トレイなどは床面に置かず台の上に置くべきである。天井面から吹き出した空気は床面にあたり、ゴミとともに舞い上がって400〜500mm上がると考えたほうが良い。菌は基本的に『塵に付着して落下する』ものだから、食 品原料は密閉容器もしくは蓋をした容器を用いるように工程改善すべきだ。金属以外の異物目視検査のために、混入する異物と異色のベルトコンベアにするなどの工夫をする。選別作業場所の照度は800〜1000ルクスが望ましい。鼠族昆虫の防除はまず侵入防止であるが完全に防ぐことは難しい。発生源となる物あるいは場所の管理でもっとも重要なのは清掃作業であり、エアーガンで吹き飛ばすなどは論外で、掃除機で吸引する。ゾーニングを行う…たとえば原料エリアで使う機材器具を包装エリアでも使うと交叉汚染を引き起こすので禁止する。汚染エリアと清潔エリアの床塗装色ははっきり違う色にする。その他の虫対策としてゴミ置場はできるだけ建物から離す。ついでに言えば臭気対策や腐食性ガス発� �による配管腐食対策なども必要になることがあるが、厄介なのは結露対策である。作業場の温度を低温にしている現場が多いので断熱不良とか、機械からの蒸気そのものの発生があり、結露発生がしばしば問題化する。原料段階でも触れたが、結露するとそこでカビの発生や細菌の繁殖が有り得るので、建築の『断熱』、設備の『換気』、『除湿』等の温湿度管理、『気流』の制御により対策する。非常に難しいことが多く、費用もかかるが、まず結露を発生させないことが重要である。

(3)包装段階

  包装段階ではシール不良の防止のため機械のシール温度や強度を管理する。金属探知機、X線検査機を用いる。包装工程も加工工程と並んで汚染の発生しやすいところである。原料段階、加工段階で厳重に防虫や異物混入を防いでも、包装材が汚染されていると最後で混入してしまう。そこで容器メーカー、フィルムメーカー、段ボール等の包装材メーカーに対して防虫管理や異物管理を求めるようになって、実は我が社もこれらメーカーへの納入事例が増えてきた。細菌の混入防止も重要である。天然水にカビ浮遊で回収、しばらく操業をやめたという事件があった。この場合飲んでも腹痛を起こすことはないと思われるが、見た目に悪いし、おそらく大抵の人は飲まないであろう。文字通り天然水なので殺菌や滅菌処理をしなかったのであろうが、この天然水、おいしい水、ミネラルウォーターなどという各種の商� �には、実は汲んで詰めただけ、殺菌処理をしたもの、滅菌処理をしたもの、後から鉱物分を添加したものなど各種ある。ミネラルというからにはマグネシウムや鉄分などさまざまなものが入っているはずだ。しかし細菌には親水性のものが多く、水分が滅法好きなのである。充填工程においては毎日洗浄される密閉配管を通って来て、それまで汚染されなかったものが最後の最期の段階で空気に触れて開放されたところで汚染される危険性が大きい。もちろん容器は内容物を詰める前に滅菌され、リンサーで内部洗浄され、ボトル外洗されてから再度リンサーを通り充填機(フィラー)に来る。その後キャッパーで蓋をされるが、キャップはあらかじめ滅菌装置で処理される。この工程での空気清浄化は重要である。施設全体をBCR( バイオロジカルクリーンルーム)化するには金がかかるので、肝心の箇所だけクリーンブースを設置して局所清浄化する場合もあり、これが今空気清浄化業界の流行語、「ミニエンバイロメント」となるのである。BCRやクリーンブースについては後で触れる。ここで重要管理点となるのはパーティクルカウンタによる空気中の塵埃管理である。クリーンルーム内の空中浮遊菌測定用エアーサンプラーというものも市販されている。ところで肝心の原料水であるが、清涼飲料水は食品衛生法による製造基準から4つに大別される9)
 @pH3の二酸化炭素圧が1.0kgf/cm=98kPa (20℃)以上で植物または組織成分を含まない炭酸飲料→殺菌不要
 ApH4未満の果実飲料やスポーツドリンク、レモンティーなどでカビ、酵母、無胞子細菌を殺菌対象として65℃10分間同等以上の殺菌が必要な高酸性飲料
 BpH4以上pH4.6未満のトマトジュース、野菜ジュースなどの中酸性飲料は有胞子細菌も殺菌対象となるため85℃30分間同等以上の殺菌が必要
 CpH4.6以上、かつ水分活性が0.94を越えるもの、例えばコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、麦茶、豆乳などはボツリヌス菌も殺菌対象となるため85℃30分間あるいは120℃4分間同等以上の殺菌が必要
(4)保管・流通段階
 門を出てしまえば食品製造工場の管理は終わり、物流・流通業者の管理項目となる。ただしメーカー直送という形態も最近は出て来ており、 次の業者に渡るまでの段階で品温管理が特に重要となる。


食品製造環境の空気清浄技術

 いよいよ我社の得意とする空気清浄化の分野である。これまでのところで予測される危害を列挙し、その要因を分析し、その発生を防ぐための重要管理点に触れた。その中で加工室や保存室、保管庫の空気質管理は大変重要な項目である。空気質とは温度、湿度、清浄度である。単に空気を清浄化するだけならばフィルタを通して必要換気量を確保すれば良い。簡単に言うが実際は空気の動線に配慮するからそれなりのノウハウが必要である。清浄空気とともに温湿度も管理するとなると実はその技術を持った会社がグンと減る。三基計装は日本のクリーンルームにおける先駆けの1社であるが、最近はメーカーが増えた。そこで登録商標である『サーマルクリーン』を標榜して事業展開してきた。すなわち温度、湿度、清浄度という空気質の総合管理を行うメーカーということである。
 クリーンルームは高価であるから食品メーカーでの普及は遅れていたが、ここにきてデフレの進展による低価格化と安全対策の必要性から導入が加速している。ミニエンバイロメントによる安価な局所清浄化ならば投資コストもかさばらない。しかも半導体のように清浄度への要求がどんどん高まることはなく、クリーンルーム・ブースの中ではもっともゆるい規格で済むから、部材の普及、生産の増加により、昔に比べてかなり安く提供できるようになってきた。食品産業の多くを占める中小企業 でもHACCPの導入に伴って施設のエア・コントロールが必要とされている。
 空気の清浄度規格ではクラス10,000や1,000というように言うケースが多い。これは米国のFederal Standard 209(FED-STD-209)という1963年に制定された立方フィートあたりの最大許容粒子数を示す言い方である。FEDでクラス-1(0.5μm)とは、1立方フィートの中に、0.5μm径の粒子が1個あることを意味する。1フィート=0.3048m、1立方フィート=28.3リットルである。1992年にメートル法を採用したFED-STD-209Eに改定された。日本ではJIS B9920(クリーンルームの空気清浄度の評価方法)が1975年に制定され、2002年に改定された。1999年には国際規格ISO14644-1が制定された。JISは当然ながらISOと整合するが、FED-STD-209Eとは対象粒径が異なるため同じ清浄度であってもクラスの数値が異なる。例を挙げるとFED-STD-209Dでクラス100と言う場合0.5μm以上の粒子が1ft3あたり100個まで、1m3あたり3,520個までであり、これをFED-STD-209E(SI単位)ではM3.5と言う。JISやISOではクラ ス5と言うがこの5というのはベキ数を表し、105という意味で0.1μm以上の粒子が1m3あたり100,000個までを意味する。0.2μmなら23,700個まで、0.3μmなら10,200個まで、0.5μmなら3,520個まで、おわかりだろうか?JIS はクラス1から8までだがISOはクラス9まであり、対象粒径も0.1〜5μmと、より詳しく規格化されている。ところが日本や米国、中国、韓国、オーストラリア、英、独、仏それぞれ基準粒子径が0.1、0.3、0.5、1μmと異なり、もうこうなってくると訳がわからない。いまだに日本や米国ではFED-STD-209の呼称が一般的だが、各国の規格がバラバラなので将来はISOに改まって行くし、我々業者はその先陣でISO規格表記の浸透に努めなければならない(表3参照)。

表3 ISO14644-1 清浄度クラスの上限濃度(個/m3

粒 径

清浄度クラス
(μm) クラス1 クラス2 クラス3 クラス4 クラス5 クラス6 クラス7 クラス8 クラス9
0.1 10 100 1,000 10,000 100,000 1,000,000

-

-

-

0.2 2 24 237 2,370 23,700 237,000

-

-

-

0.3

-

10 102 1,020 10,200 102,000

-

-

-


カートップ記号
0.5

-

4 35 352 3,520 35,200 352,000 3,520,000 35,200,000
1.0

-

-

8 83 832 8,320 83,200 832,000 8,320,000
5.0

-

-

-

-

29 293 2,930 29,300 293,000
粒径範囲 0.1〜0.2 0.1〜0.5 0.1〜1.0 0.1〜5.0 0.5〜5.0

 

主に病院、製薬、食品の分野で使用のバイオクリーンルーム(BCR)は、菌の制御を目的としているため、空気の清浄度の他に落下菌に対する規定が決められている。この規格としては、NASA(米国航空宇宙局)の規格があり表4に示す。落下菌は1週間に1ft2あたり落下する菌のコロニー(形成される集落)をカウントしてCFU:Colony Forming Unitという単位で出す。
BCRの4原則としては

(1)菌を持ち込まない

(2)菌を溜めない

(3)菌を発生させない

(4)菌を排除する

ことと言われている。

表4 NASA規格による空気清浄度のクラス分類

清浄度クラス

空気中浮遊菌(CFU/ft3 落下菌(CFU/ft2・week)

100

0.1 1,200
10,000 0.5 6,000
100,000 2.5 30,000

CFU:Colony Forming Unit

食品工場の一般的なJIS清浄度クラスは
  醸造、発酵:醤油、みそ、清酒、ビール…7〜8
  乳製品:牛乳、ヨーグルト、カステラ…68
  食肉加工:生ハム等無菌包装…56
  魚肉練り製品:蒲鉾、はんぺん…68
  パック食品:惣菜、弁当、レトルト…78
  (JIS清浄度クラス5:クラス100、6:クラス1,000、7:クラス10,000、8:クラス100,000)
ぐらいであるが、工程により変わる。

 高清浄度クリーンルームは床をグレーチング(網状)にして天井からの空気を層流にし、排気するダウンフロー式をとるが、食品工場のBCRは洗浄が必須のためコンベンショナル方式が一般的である(図6参照)。壁材は断熱材を間にはさむサンドイッチパネルが普及しており、表面材はカビの発生やチリ、ホコリの付着しにくい耐蝕性、耐湿性、耐水性に富むものが用いられる。規格化されたサイズのものを組み合わせ、望む形にレイアウトできる。移設、増設も比較的容易であるが、事務所のパーテーション材のようなジョイント金具方式ではなく、シリコンコーキングで完全シール、高い気密性能に仕上げる。パネルは強度のある一体構造なので自立で施工でき、天井も吊り天井にして独立無柱式構造で短い工期で施工でき る。天井には照明・防災器具を付け、HEPA(ヘパ)フィルタ・ユニットを組み込むので、気密性が大事になる。

 HEPA:High Efficiency Particulate Air Filter

 

図6 クリーンルームの種類

 食品工場においてもっとも問題になるのは床材である8)。土間コンクリートが多く、地盛り、地固めが不十分で不等沈下が発生し、スラブ全体が歪んだりクラックが発生する事故がある。表面仕上は一般的に塗り床であるが、この材料は多種にわたる。熱、水、薬品、台車の重量等を考えた上で、剥離の無い方法を採る。もちろんコストが第一になるであろう。先述のように防塵、防虫の観点から掃除を頻繁に行うため、床と壁の接点に幅木を用いる。ゴミが溜まらないようにR(15R〜50R)を付ける。表面はSUS、アルミアルマイト、樹脂塗料コーティングなど。

 床の次に問題となるのは扉である。動線上の扉は自動扉とする。防虫・防鼠のため下部にブラシを付けることもある。自動扉センサーについては防湿性のものを選定する。

 空気調和設備としては安価なパッケージエアコンを用いることが多い。ただしこれは基本的にオンオフ制御されるので、設定値(SV)と計測値(PV)の間に偏差(DV)がないと制御されないから一定の波を打つ。高精度空調の恒温恒湿室の場合は外気処理ユニットで1次空調した後、プレフィルタ、中性能フィルタ、熱交換器(コイル)、ヒーター、加湿器、送風機で構成された空調機を作り、ここから送風ダクトを通じてHEPAフィルタユニットへ空調された空気を送る。部屋に供給された空気は吸い込みグリルを通して出て来て、ダンパにより還気と排気に分けられ、それぞれ空調機と屋外へと分かれて行く。クリーンルームは基本的に室内が陽圧化されている。常に清浄空気を押し込む形になっているのでそのまま防虫対策になっている。

  具体例を2点ほど紹介する。まず飲料の充填工程においては特に高清浄空間を必要とする。図7に茶飲料の無菌充填工程図9)を示す。ボトルの滅菌室はクラス7(クラス10,000、充填やキャップ滅菌を行う充填室はクラス6(クラス1,000、リンサー、フィラー、キャッパーの装置まわりはクリーンキャビネットで覆いクラス5(クラス100)として陽圧も一番高くする。これら充填工程に対する我社の実績は大変多い。


図7 茶飲料の無菌充填工程図

写真上 リンサー

 

写真上 フィラー

 次に紹介するのは焼き菓子などの冷却装置である。オーブンで蒸した高温のものが流れてくるラインの後にステンレス製の冷却クリーントンネルを設置する。前工程にオーブン、後工程に金属探知機と包装工程がある。図8に示すようにまずクリーンエアユニットを数台並べて室温で予冷する。その後熱交換器(コイル)と送風機が組になったブロックをいくつか経過して熱を奪われ、トンネル位置を横軸にとり縦軸に温度をとれば、エクスポネンシャルに降温し最終段では飽和状態となる。コイルに供給される冷媒は冷凍機から供給する。クッキーやチョコレート、どら焼き、プリンなどの実績がある。

 
図8  クリーントンネルでの予冷(左)           クリーンエアユニットSUM-1010(右)


モニタリングの重要性

  HACCPシステムは今や製造物責任制度(PL)や消費者のクレームからの企業防衛にとって必要不可欠なものになった。企業そのものがしっかりしていないと内部告発は当り前、ウソはいつかばれるから毅然とした経営方針、企業倫理のもと、社員への意識の徹底を図る必要がある。HACCPシステムの基本は重要管理点(CCP)のモニタリングを行い、記録を取ることである10)
   計測機器は多種にわたる。センサを選定し使用するにあたり、精度の維持管理のためのトレーサビリティの方法を定めることが重要である。また、計器の指示を読み取り記録すると間違いが必ず起きるので、記録方法は自動記録とすべきである。記録計からコンピュータシステムまで各種提供されている。主な管理項目と計器を列挙する。
 【温湿度】白金測温抵抗体、熱電対、サーミスタ、バイメタル、非接触赤外線温度計、食材用芯温計、放射温度計、カード式温度ロガー

【水質】ガラス電極pH計、塩素濃度計、水質計

【水分活性…】塩分濃度計、屈折計、糖度計、比重計、水分計、グルコース計、色差計
【圧力】圧力計、差圧計

【流量計】電磁流量計ほか各種

【液レベル】超音波レベル計ほか各種

【質量】電子天秤、ロードセル

【容器形状】X線画像解析装置、ストログラフ

食品衛生管理はやはり圧倒的に温度−時間管理である。加熱条件(温度、時間)、冷却条件(温度、時間)、品温(中心温度)、原料・製品保存温度の測定・記録・保管である。


   図9にジュース生産ラインのHACCP支援システムの構成例を示す。このシステムの特徴は工場内各製造機械周りに設置したセンサから入力したデータが1本の2芯CVVS線で管理室のパソコンまでいもづる式に結ばれる省配線システムになっていることである。

製品名、原料名、製品規格値などの情報登録が任意に可能

各種センサによる自動計測、タッチパネルによる手動入力を計測対象ごとに任意登録

温度、圧力、流量など自動計測量のリアルタイム監視

異常発生時、工場内指定場所に瞬時通報

高速移動中のペットボトル、ビン、缶の殺菌温度計測、全数検査可能

管理室パソコンでバッチ報、日報、月報管理

顧客編集可能なHACCPデータベース(トラブルシューティング)ソフトを用意

図9 ジュース生産ラインのHACCP支援システム

農場から食卓までのHACCP

 HACCPシステムは、食品の安全性を確保する上で最も効果的かつ効率的な手法であるとして高く評価され、欧米諸国では食品業界に導入が推進されてきた。国際的にも、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)において、「HACCPシステム適用のためのガイドライン(1993年)」が採択され、各国に本システムの積極的な導入を勧告している。
 我が国では、平成7年の食品衛生法の改正において、HACCPシステムによる衛生管理を基礎とした「総合衛生管理製造過程の承認制度(法第7条の3)」を創設し、食品関連施設に対し本システムの導入を推進してきた。また「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法:HACCP手法支援法(平成10年)」を制定し、金融・税制面での優遇措置を通じてHACCPをより行い易くする施� �・設備等の整備を行えるようにするとともに、HACCPシステム導入食品製造施設への助言のできる食品衛生監視員の養成、業界団体の開催する講習会への講師の派遣等が行われてきた。
 HACCP手法とは、食品の製造に係る全工程において、危険防止につながるポイントをリアルタイムで監視・記録し、製品の安全性の確保を図ろうとするシステムである11)
 HACCPの概念としてよく言われるのはFood safety from Farm to Tableというコンセプトである。しかしながら日本における現実はまだ食品加工の段階の、それも一部に留まっている。HACCPは厚生労働省と農水省の両方で推進しているが、実は経済産業省も巻き込んだ省庁横断の横割型で推進すべきものと考える。我社はクリーンルーム、ブース以外に施設園芸ハウスの環境制御、水耕プラント、豚舎環境制御システムなども事業の別の柱となっている。そこで我々は今後川上に向かってGMP装置を提供して行かなければならない。家畜の交配、妊娠、分娩、肥育のプロセスは人間と同じように、小学生ぐらい、抵抗力がつくまで大事に育てて行く。生まれたばかりのときは母親の胎内が温かいから気温もやや高めにして、成長するにつれ徐々に下げていく。子豚の肥育舎などまさにクリーンルームで� ��り、無菌環境とするため汚染源の人間が舎内に入るには、入浴してきれいさっぱりとなってから入室する。幼児期に大事に育てるのは植物も同じである。発芽から苗の段階では空気環境、ベッドの地温、水分、養分管理が重要であり、強い風が当たらぬように大事に育てる。

図10 子豚の肥育には細心の注意を払う

  食肉汚染対策には食肉処理場や農場での病原菌汚染防止制御が必要だ。牛肉のO157汚染対策、BSE対策としての飼料管理、養鶏場のサルモネラ対策は農場で行うもので、カンピロバクターは家禽の腸管内常在菌なので食鳥処理場での排除処理というようにHACCPの概念に基づいた管理が徐々に行われつつある。また昨今相次いでいる食品偽装事件に対して業界団体も危機感を強め、生産者、流通業者、小売り業者、外食団体、消費者団体が会合を開いて対策を練っている12)。日本ではかいわれ大根O157食中毒事件が発生し、最終的には原因不明に終わっているが、直後店頭から一斉にかいわれ大根が姿を消し、ミツバやもやしなどもトバッチリを受けた。たびたびマスコミにも登場した有名なかいわれ大根生産農家のハウスは、ム ービングベッドを採用するなどオランダ式の工場まがいの設備を誇っていたが、この事件で壊滅的打撃を受けた。その無念さは察して余りある。水耕栽培の場合には水管理がたいへん重要なのである13)。また所沢市ではテレビ報道によるほうれんそうのダイオキシン騒ぎがあり、これを機に産業廃棄物処理施設が次々と廃業した。全国の清掃工場には今ダイオキシンを事務所に持ち込まないためのエアシャワー設備が設置されている。

   

図11  水耕栽培には水管理が重要

医薬品・健康食品市場

  食品と同様、経口により直接人体に吸収されるために安全管理が必要となるものは薬品である。また病院での手術、ICU、調剤などには無菌化空間が必要となり、これら現場で使われる医療器具の製造・保管にもクリーン空間が必要である。我社はこの方面にも様々な設備、機器、ユニットを提供している。医薬分野においては日本市場の特異性が叫ばれている。病院における薬剤投与量は米国の何倍にもなると聞く。薬価下げ圧力が日増しに高まっており、医療費低減圧力と相俟って医療現場におけるコストダウンが求められている。

 一方で最近の健康食品ブームはすさまじい。雨後の竹の子のように健康食品会社が現れている。ビタミン補給錠剤、健康茶、青汁、クロレラ、ローヤルゼリー、プロポリス、アガリクス、ダイエット食品、糖尿病対応食品、血圧降下食品、キトサンなどダイエット食品やサプリメント、具体名を出して恐縮だが「健康エコナ」は他の食用油に比べ数倍の価格なのにものすごい売れ行きで大ヒット商品となった。いかに国民の健康志向が強いかを如実に示している。骨粗しょう症予防食品、コレステロール抑制食品、アルカリイオン水、酸性水、栄養補助食品など特定保健用食品(トクホ)市場は2001年で4120億円になり、ぐんぐん伸びている。平成大不況(普況?)下、アミューズメントと並んで成長産業である。こんなに健康食品会社がた くさんあるのはそれを支えている受託製造会社(CRO)があるからだ。

  厚生労働省は、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH:注)の原則や指針に合致した方法で2002年7月に、食品や薬品の安全を規制する薬事法を改正した。全成分表示が義務付けられる。その焦点は下記の通りである。

1)国際整合性を踏まえた製造承認制度の見直し…規制緩和となる

2)バイオ、ゲノム技術の国際的発展に対応し、安全面の見直し…規制をかける

3)医療機器にかかわる安全対策見直し…規制強化となる

これにより、

1)委託製造が完全自由化され、製造承認ではなく元売承認となる

2)品目承認前にGMP査察

3)製造関連施設の認定制度化

と変更になる。


図12 医薬品・健康食品市場を巡る構図

 また2000年頃よりFDA Part11が話題となってきた。Part11の基本はバリデーションデータの電子記録と電子署名である。バリデーションの電子化はユーザーである製薬会社のみならず、ソフトウェアや計測業界、さらに我々装置業界にとっても新たなビジネスの機会を提供するものとなろう。

注)ICH(医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議)とは国際間での新薬承認申請データを相互に活用できる環境を整え、他国の優れた医薬品の承認がスムーズに行えるようにすることを目的に、日・米・欧の薬事規制当局、すなわち厚生省、FDA(アメリカ食品・医薬品管理局)、EC委員会、そして日本製薬工業協会、アメリカ製薬工業協会、ヨーロッパ製薬団体連合の官民共同によって開催されている国際会議である

CROとは製造受託業者である

  三基計装は食品・医薬品産業、医療現場に『サーマルクリーン』技術を生かし、お役に立てるよう日々努力を重ねている。

【参考文献】
 1)横山理雄:HACCPの現状とHACCPの導入手順、HACCP実践研究会第6期セミナー標準テキストP1〜19(2002)

 2)高野光男、横山理雄:食品の殺菌 P5幸書房(1998)

 3)中川 弘、伊藤 武:「酵素基質培地」利用によるそうざい製造業での微生物管理、ジャパンフードサイエンス、Vol.40 10月号P33〜39(2001)

 4)伊藤 武、中川 弘:食品病原菌の迅速測定法の最近の進歩、乳業技術、Vol.51 P77〜88(2001)
 5)中川 弘、伊藤 武:食品・環境の微生物検査の実際と簡易・迅速検査法導入の現状と今後、食品と開発、Vol.37 1 P2〜5(2002)

 6)金沢俊行:食品工場における危害分析法とCCPの設定法および管理基準の作成、HACCP実践研究会第6期セミナー標準テキストP41〜56(2002)

 7)岡 良博、石川 誠:HACCPシステムと当社の品質管理体制、食品機械装置、Vol.39 P44〜50(2002)
 8)栗田守敏:HACCPの前提条件としての一般管理プログラム、HACCP実践研究会第6期セミナー標準テキストP88〜107(2002)

 9)市橋 進:食品工場の微生物管理とクリーン化技術、HACCP実践研究会第6期セミナー標準テキストP124〜136(2002)

10)村手敏治:許容管理基準の設定法とモニタリング技術、その他各種記録の処理法、HACCP実践研究会第6期セミナー標準テキストP29〜40(2002)

11)藤原真一郎:食品製造施設における衛生管理システムの評価、月刊HACCP、Vol.6 9月号P25〜28(2000)

12)特集相次ぐ偽装事件−信頼確保のための豚肉表示を考える、月刊養豚情報、Vol.30 5月号P22〜37(2002)


13)(社)日本施設園芸協会:栽培上の衛生管理、月刊HACCP、Vol.7 5月号P82〜88(2001)

施設、クリーン化機器に関するコンサルティングのみならず、データ取得のためのセンサ、データロガーに至るまで各種ご相談に応じます。弊社にはそのための「HACCP実務者」が居りますのでお気軽にご相談下さい。


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